テール・ドーブ 2019 / アレクサンドル・バン

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ワイナリー: アレクサンドル・バン
生産地:フランス / ロワール
品種:ソーヴィニヨンブラン100%
タイプ:白
ヴィンテージ:2019
栽培:ビオロジック
SO2:発酵終了後に少量

【ロワール・プイィ フュメの異端児アレクサンドル・バン】
※以下、インポーター野村ユニソン様情報
テール ドーブというキュヴェ名は、この区画の特別な土壌を表しているとの事。この畑は近年新しく植樹された区画で、その苗木はこの地方のビオディナミ栽培のメンター的存在であるミシェル オジェの所有していたソーヴィニヨン ブランをセレクション マサル(とある範囲の区画から優良な形質を持っているブドウ樹をいくつか選び、そこから接ぎ木に使う穂木を採取する方法)と呼ばれる手法で選抜されたものを用いています。

樹齢こそ若いものの耕耘には彼の長年の愛馬であるフェノメン(白い馬)と2013年シーズンからあらたに加わった若いヴォードック(黒い馬)の2頭のみで行い、トラクターを用いません。馬での耕耘は、非常に手間がかかる作業で時間効率もよくありませんが、重いトラクターによる作業が土に与える影響などを考え、アレクサンドル バンは出来る限りの面積を馬で耕耘したいと考えています。

香りにはアレクサンドル バンらしい蜜のような濃密なフレーバーがあり、華やかさ、香ばしさなどがバランス良く共存しています。口に含むとシャープさ、クールさ、しっかりとした密度を感じるソリッドな味わいがあり、今までの彼のワインにはないキャラクタに少し驚かされます。豊かな果実味はもちろんあるのですが、そこに重層的に硬質なミネラル感と品の良い酸があり、それが全体の味わいを引き締めています。アレクサンドル バンのワイン史上もっともクールなワインと言えるかもしれません。

アレクサンドル・バンについて
サンセールからロワール川を渡り、プイィ フュメの丘に向かう途中に、「ドメーヌ アレクサンドル バン」があります。彼は1977年生まれ、子供の頃、サンセールにある祖父の家の近くに移り住んだ時、農業をしていた祖父を見て興味を持ち、農業学校に進みました。農業とは関係のない仕事をしていた父が自然派ワインのファンであった事から、ワイン造りに興味を持ち、卒業後にブルゴーニュや南仏を始め、カリフォルニアのワイナリーでも研修を積み、メヌトゥー サロンの「ドメーヌ アンリ プレ」で醸造長を務めた後、2007年に畑を購入して独立しました。5haほどの広さから始めたワイン造りも現在は11haほどの広さになり、中生代ジュラ紀後期の地層であるキンメリジャンやポルトランディアン土壌を備えた畑から印象的な味わいのワインを生み出しています。

アレクサンドル バンがワイン造りの地として選んだプイィ フュメやサンセールは、ソーヴィニヨン ブランの銘醸地としてフランス内でも名を馳せるワイン産地です。しかし、その著名さ故にブルゴーニュ地方のシャブリ地区と同様の構造的な問題を抱えています。その問題とは、サンセールやプイィ フュメという強力なブランドが真摯なマーケティングや品質追求を不要とし、ある程度のクオリティのワインであれば売るのに困らないという状況が、この地の生産者の多くを保守的な思考に走らせている事です。

そんな中に登場したのが2人の異端児、サンセールのセバスチャン リフォーとプイィ フュメのアレクサンドル バンです。「生真面目なやんちゃ坊主」という印象のセバスチャン リフォーに対し、「冷静でありつつも熱く闘志を燃やす」アレクサンドル バン。公私ともに仲の良い2人は、毎日のように顔を合わせ、ワイン片手に語り合うと言います。2人に共通するのは、完熟したソーヴィニヨン ブランで造るというスタイル。一般的な醸造学校では、ソーヴィニヨン ブランにおけるワイン造りのセオリーとして、早い収穫や収量をある程度多くすることなどを教わると言います。しかし、他の産地に目を向けるとブドウのバランスの良い成熟度は、黒ブドウや白ブドウを問わずに重要視されており、なぜソーヴィニヨン ブランだけが青くて酸っぱい状態で収穫しなくてはならないのか、という疑問が彼らの原点となりました。

本当のプイィ フュメ、本当のサンセールは、よりピュアなワイン造りから生まれる。そう信じた彼らは、周囲の保守的な人々の懸念をよそに自分たちのワイン造りを突き進みます。畑で除草剤や殺虫剤、化学肥料などの化学物質を用いずにビオロジックやビオディナミによる手法でブドウを栽培、粒が小さくエキス分の凝縮したブドウを得るために収量を制限し、完熟しつつもバランスの良い酸を備えたブドウを得るために収穫時期を遅らせます。そのため、一部のブドウにボトリチス菌(貴腐菌)が付くこともありますが、その貴腐菌がついたブドウも含めて収穫し、濃密な果実味と品の良い酸、繊細なミネラル感を備えた従来のソーヴィニヨン ブランやプイィ フュメの概念を超えたワインを生み出しています。

「ワインは大地と人をつなぐ、一番素晴らしいもの」
こう語るアレクサンドルの顔は、自信と希望に満ちあふれています。

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